“相手を動かす”ピッチ資料の作り方

「新規事業を成功に導くピッチ資料」をテーマにオンラインセミナーを開催しました。
本記事では、当日の登壇者であるAll Bridge株式会社 代表取締役 水谷真人による講演内容をレポートします。
登壇者紹介

水谷 真人
All Bridge株式会社 代表取締役
早稲田大学国際教養学部卒業後、コンサルティング会社にて自動車、化学品、住宅設備メーカーなどの業界でシステム導入・業務改革プロジェクトに従事。
その後、スタートアップ支援会社に転職し、官民連携プロジェクトや新規事業創出支援、起業家育成プログラムの設計・運営に携わる。現場の想いと組織の戦略を繋ぐ伴走支援で、数多くの新規事業の立ち上げをサポート。
2023年に「人の可能性を最大化し、社会で輝く人を増やす」をミッションにAll Bridge株式会社を設立。企業の“挑戦する文化”を育み、実行力ある人財を生み出す新規事業支援プログラムを展開中。
グロービス経営大学院大学MBA修了。
ピッチは「伝える」ではなく「動かす」
多くの方がプレゼンテーションとピッチを同じものとして捉えがちですが、ピッチの目的は“意思決定者を動かすこと”にあります。
限られた時間(5〜15分)で、予算・人員・期間などの具体的アクションを引き出す構成と見せ方が求められます。

一方でプレゼンは「分かりやすく伝える」ことが主目的。“動かす前提で何を残すか”が、ピッチ設計の起点になります。
なぜ“ピッチ資料化”が必要か(3つの理由)
- 検討内容がストーリー化される
- 現場と経営の情報ギャップ(時間・前提知識の差)を埋められる
- 次アクション(追加検証・意思決定・体制構築 等)を明確にできる

どのフェーズであっても、いったんピッチとして骨子を組むことで、論点整理と優先順位が浮かび上がります。
基本のスライド構成(目的・時間に応じて取捨選択)
- 顧客/顧客課題
- 解決策(価値提案・差別化要点)
- 市場規模
- 予測PL
- 競合・自社優位性
- ビジネスモデル
- トラクション(顧客の反応・意思:購入意向数/合意金額 等)
- チーム
- 3年程度のビジョン
ポイントは、各項目がひとつの物語としてつながっているかどうか。
“人を動かす”ための3ステップ
- 掴む:問い・事例・数字で関心と感情を惹きつける
- 渡す:意思決定に必要な事実・根拠・比較を的確に提示
- 動かす:人員・予算・期間・評価観点など具体的な要請を明示
見やすく、判断しやすい資料のためのデザイン6原則
- 1スライド=1メッセージ
- 文字は最小限(詳細はアペンディックスへ)
- 配色は2〜3色に統一
- フォント/サイズの統一
- 余白を恐れない
- 視線の流れ(Zパターン)を設計
伝わる話し方・振る舞い(6つのコツ)
- アイコンタクト
- 姿勢と必要十分なジェスチャー
- 明瞭な発声と“ひげ言葉”の排除(えー、あのー 等)
- 熱量の伝達(静かな語りでも“内なる熱”を)
- 画面上の視線誘導(どこを見てほしいか)
- 時間厳守
「魅力的なピッチ」の本質
承認に至らない原因は、必ずしもデザインや話法ではありません。重要なのは、
- 各項目の検討の深さと一貫性
- 自社でやる必然性(Why Us/目標売上との整合)
- 「美味いか(市場魅力度)/勝てるか(優位性)/できるか(実効性)」を常に往復し、ピッチに反映させます。
まとめ
今回のセミナーでは、
- デザインの前に原理原則とストーリーを置くこと
- 目的起点で構成と見せ方を最適化すること
- ピッチは目的達成の手段であり、次アクションを必ず定義すること
を強調しました。
All Bridge株式会社は、社内新規事業の伴走支援を通じて、現場の情熱を“意思決定が動く形”に変えていきます。