新規事業を成功に導く「フィットジャーニー」とは? ~アイデア止まりにしない、新規事業を前進させる方法~

All Bridge株式会社は、2025年10月2日に「新規事業を成功に導く『フィットジャーニー』とは? ~アイデア止まりにしない、新規事業を前進させる方法~」と題したオンラインセミナーを開催しました。本レポートでは、代表取締役 水谷真人による講演をもとに、新規事業を体系的に進めるためのフレームワーク「フィットジャーニー」の全体像と活用方法をご紹介します。
登壇者紹介

水谷 真人
All Bridge株式会社 代表取締役
早稲田大学国際教養学部卒業後、コンサルティング会社にて自動車、化学品、住宅設備メーカーなどの業界でシステム導入・業務改革プロジェクトに従事。
その後、スタートアップ支援会社に転職し、官民連携プロジェクトや新規事業創出支援、起業家育成プログラムの設計・運営に携わる。現場の想いと組織の戦略を繋ぐ伴走支援で、数多くの新規事業の立ち上げをサポート。
2023年に「人の可能性を最大化し、社会で輝く人を増やす」をミッションにAll Bridge株式会社を設立。企業の“挑戦する文化”を育み、実行力ある人財を生み出す新規事業支援プログラムを展開中。
グロービス経営大学院大学MBA修了。
新規事業における典型的な課題
新規事業の現場では、以下のような課題が頻繁に見られます。
- アイデアは出るが前に進めない:社内合意が得られず停滞してしまう。
- やる/やらないの判断が曖昧:合理的な評価軸がないままプロジェクトが長期化する。

こうした課題を解決するために、体系的に進めるための枠組みが必要です。それが「フィットジャーニー」です。
フィットジャーニーとは?
フィットジャーニーとは、新規事業を「思いつき」や「偶然」に頼らず、段階ごとの検証を重ねながら前進させるフレームワークです。

フェーズ構造(All Bridge版)
フェーズ | 名称 | 定義 |
PHASE 0 | Mission Strategy Fit (MSF) | 経営層の期待・目的と結びつけ、社内で進める意義を明確化する。 |
PHASE 1 | Strategy Customer Fit (SCF) | 優位性を築ける市場を特定し、事業のストーリーを描く。 |
PHASE 2 | Customer Problem Fit (CPF) | 顧客が課題を認識し、解決を求めているかを確認する。 |
PHASE 3 | Problem Solution Fit (PSF) | 提案する解決策が顧客にとって価値があるかを検証する。 |
PHASE 4 | Solution Product Fit (SPF) | 製品化の実現可能性と事業性を検証する。 |
PHASE 5 | Product Market Fit (PMF) | 製品が市場に受容され、顧客が定着しているかを確認する。 |
PHASE 6 | Go To Market (GTM) | 市場投入・拡大戦略を実行し、売上や認知度を獲得する。 |
PHASE 7 | Growth | 事業拡大と安定的な成長を実現する。 |
このプロセスは直線的に進むのではなく、検証の結果によって振り返りや修正を行うことが大切です。
検証フェーズの実践ポイント
特に参加者の関心が高い、CPF(課題検証)~SPF(事業性検証)における実践のポイントが共有されました。
- CPF(顧客課題の発見):顧客インタビューやペルソナ設計を通じて真の課題を特定する。
- PSF(ソリューション検証):MVPを活用し、顧客が価値を感じるかを短期間で検証する。
- SPF(事業性検証):市場規模(TAM/SAM/SOM)や収益モデルを数値で確認し、持続可能性を判断する。
フィットジャーニー導入による効果
導入によって得られる代表的な効果は以下の通りです。

- 見える化:各フェーズの進捗が明確になり、社内で共有可能。
- 判断基準の明確化:合理的な「進める/止める」の意思決定が可能に。
- マネジメント性:経営層に透明性を持って説明できる。
- 学習の蓄積:失敗や検証結果が「組織の知」として残り、次の挑戦に活かせる。
まとめと今後の展望
水谷は最後に、新規事業を進める上で常に問い続けるべき3つの視点を強調しました。
- 美味しいか?(市場魅力度)
- 勝てるか?(競争優位性)
- できるか?(実現可能性)
これらを基準に、アイデアを事業へと昇華させることが、新規事業を社会的価値へとつなげる鍵となります。