「新入社員が事業を生み出す経験を」― 新規事業創出プログラムがもたらした成長と変化


担当者の皆様

子浦 央士 様
子浦 央士 様
人事・IT戦略室 室長

藤堂 善生 様
藤堂 善生 様
人事・IT戦略室 人事戦略ユニット ユニット長

小野 颯様
小野 颯 様
人事・IT戦略室 人事戦略ユニット 新卒採用・研修担当


入社1年目社員が、新規事業を構想し、仲間と磨き上げていく。

株式会社ユカリア(以下、「ユカリア」)が導入した、入社1年目の社員を対象にした新規事業創出プログラムは、単なる研修を超えた「実践の場」となりました。

今回はユカリア人事部門の子浦様・藤堂様・小野様に、同プログラムがもたらした変化と手応えを伺いました。

新入社員が「事業を生み出す」という挑戦

入社直後の社員が新規事業の立ち上げに挑む。ユカリアが重視したのは、入社1年目の社員に知識やスキルではなく、「事業をつくる視点」を身につけさせることでした。

小野様は、プログラム終了後の新入社員の変化に驚いたと言います。

プログラムで出したアイデアをもとに社内のビジネスコンテスト『EBIZ』へエントリーし、事業化を目指して動いている社員がいます。その後、事業部内で検討に入っていると聞いたときは、「もうそこまで進んだのか」と感心しました。

それ以外にも、プレゼンが苦手だった社員が練習を重ねて、経営層からプレゼンへの高い評価を受けました。これは大きな成功体験になったのではないかと感じています。

プレゼンの様子

協働が育てた「自己理解」と「他者理解」

プログラムのもう一つの成果は、「仲間とともに考える力」でした。新卒メンバーがチームで意見をぶつけ合い、時に迷いながら前に進んだ2ヶ月、その過程で、自己理解と他者理解が深まっていきました。

プレゼンの様子

子浦様は、当時を思い返します。

単なるワークショップではなく、実際に事業を考え、それを最終日に経営陣を含めた全社に発表するという、負荷もプレッシャーもある環境でチームとして課題に向き合った経験が、大きな成長につながったと思います。以前は、素直すぎて一人で突き進むタイプだった社員も、周囲の意見を聞きながら進められるようになりました。このプログラムを通じて、自分の特性を理解するだけでなく、他者への尊敬と理解が深まり、それが結果として事業アイデアにつながったと思っています。

藤堂様も、成果は人間関係の中に表れていると話します。

プログラムの性質上、自分たちで答えを出していく必要がある中で、相互尊敬と相互理解が深まりました。議論を重ねる中で意見がぶつかることもありましたが、互いを否定するのではなく、「どうすればより良くできるか」と前向きに考える姿勢が生まれていったのが印象的でした。その結果、新入社員研修後の配属先がバラバラでも、孤立することなく、スムーズに職場に溶け込んでいます。あの数ヶ月間の経験が、「信頼関係の土台」になっていると感じます。

そして小野様の印象に残った言葉。

新卒研修終了後に「この6人で本当に良かった」と新入社員たちが口をそろえて言っていました。意見をぶつけていきながら、最後はお互いを尊重し合う関係ができたと思います。入社後間もないタイミングからこのような体験ができたことは、今後の成長に大きく寄与すると思っています。

経営陣が引き込まれた「事業性のあるプレゼン」

最終発表の日。経営陣の目の色が徐々に変わっていったそうです。プレゼンの内容が、単なるアイデアではなく「事業提案」になっていたからです。

小野様は、その様子を印象深く覚えています。

事業の体裁がしっかりしていて、売上数字の裏付けや顧客像まで考えられていました。経営陣からの質問も具体的で、「今後、誰に営業をかけるのか」「どの事業部と協力体制を構築するのか」など実務レベルの議論になっていました。

子浦様も頷きます。

経営陣だけでなく、当日聞いていた社員からも想定以上に質問が続き、議論がどんどん深まっていきましたね。新卒の発表としては異例の盛り上がりでした。その後、事業部での継続検討も決まるなど、新入社員としての成長にとどまらず、会社の成長にもつながる取り組みだったと思います。

プレゼンの様子

組織を動かした「1年目の挑戦」

今回のプログラムがもたらした影響は、新入社員の成長だけにとどまりません。挑戦する姿勢そのものが、既存社員の意識を変えるきっかけになりました。

子浦様は語ります。

最終発表を受けて、経営層だけでなく、社員からも「1年目がここまでやるのか」という驚きの声があがりました。単にプレゼンの完成度が高かったということではなく、「自分たちの言葉で事業を語る姿」に、多くの社員が刺激を受けたように思います。

そして、その姿勢が2年目、3年目の社員や中途入社者にも良い影響を与え、「自分ももっとできるのではないか」と前向きな空気を生み出していると思います。新入社員だけでなく、周囲が一緒に学び、支え、動き出していく。その連鎖が、ユカリア全体の成長意欲を底上げしていると感じます。

新卒の挑戦が、組織全体を動かした。それが今回の取り組みの大きな価値でした。

研修から「実事業」を生み出す未来へ

小野様は、これからの理想をこう描きます。

社内のビジネスコンテスト『EBIZ』との連携を進めることで、複数の新規事業が生まれることが理想です。1件、2件と成果が積み重なれば、事業創出と人財育成の両輪が回り出すと思います。

プレゼンの様子

藤堂様も、その先にある文化に目を向けています。

「新規事業を創出できた」という成功体験を得た社員が社内に増えていけば、挑戦が自然に続くカルチャーが根付くはずです。新入社員が挑戦する姿を見て、次の世代も「自分もやってみよう」と思える。そんな連鎖が生まれれば、ユカリア全体が学び続け、成長し続ける組織になると思っています。このプログラムは、その第一歩を示してくれたと感じています。

「前向きな空気」を生む、新規事業創出プログラム

プログラムを終えて見えてきたのは、他の研修にはない「ポジティブな空気感」でした。

プレゼンの様子

子浦様はこう感じています。

課題解決型研修だと、どうしても「問題点」に焦点が当たりますが、新規事業では「伸びしろ」としてフィードバックが返ってくる。だから受け手も前向きに取り組めるんです。さらに、新規事業創出プログラムだからこそ、「正解がない中で考える」という経験ができたのも大きかったと思います。

普段の業務では、上司や先輩が用意した課題に取り組むことが多いですが、このプログラムでは自分たちで問いを立て、道をつくっていく。その過程で、一人ひとりが自分の強みや得意分野を再発見し、チームの中でどう貢献できるかを考えるようになりました。新入社員がこの段階で「事業をつくる視点」に触れられたことは、今後のキャリア形成にも大きな意味があると感じています。

事業を理解し、事業を軸に考える姿勢。それこそが、ユカリアの人財育成における新たな基盤になりつつあります。


まとめ

今回の新規事業創出プログラムは、単なる研修にとどまらず、入社1年目から「事業を生み出す」挑戦を通じて、自己理解・他者理解の深化、経営陣を巻き込む議論、そして既存社員への刺激へと広がっていきました。

特に印象的だったのは、「課題が出た」というよりも、一人ひとりが「自らの可能性を発揮する場」として変化していったことです。事業を創るという行為が、人財育成のプロセスそのものと重なり合い、個々の成長と組織の成長が同時に進み始めました。

さらに、その挑戦の姿勢が社内にポジティブに波及し、「挑戦が自然に生まれる」空気が育ちつつあります。

一人ひとりの成功体験が積み重なり、信頼感のある関係性が生まれたこと。そして、「2年目・3年目へと成長をつなげる仕組みづくり」や「事業理解とカルチャー理解の両立」といった次のテーマも見えてきたこと。

今回の取り組みは、個々と組織の成長のための確かな種をまき、ユカリアの社員が可能性を花開かせる未来へとつながる第一歩になりました。

プレゼンの様子

事務局メンバー

水谷 真人
水谷 真人
All Bridge株式会社 代表取締役

稲熊 圭太
稲熊 圭太
新規事業人財育成スペシャリスト

毛利 康聖
毛利 康聖
新規事業創出コンサルタント