「教養が組織を変える」― リベラルアーツプログラムが生み出した学びの循環と変化
ご担当者
入社年次や役職に関わらず、「学び続ける人材」をどう育てるか。 株式会社ドコモgacco(以下、「ドコモgacco」)と進めるリベラルアーツ思考ビジネスプログラム 異業種交流スクールは、単なる研修を超え、不確実性の⾼い時代におけるビジネスパーソンの課題に、リベラルアーツという視点からアプローチする新しい学びの仕組みとして根づき始めています。 さらに本プログラムは、固定観念にとらわれず、難局を乗り切るためのビジネス創造⼒を育むことを⽬的に、企業を越えて学び合う「異業種交流スクール」としても機能しています。 All Bridgeは、これまで4期にわたり本プログラムの運営として伴⾛してきました。 今回の記事では、ドコモgaccoがこのプログラムをどんな想いで展開しているのか、そして今後、誰へ届けていきたいのかを山田様に伺いました。
1. リベラルアーツが描く「学びの循環」とその意味
リベラルアーツプログラムの出発点は、「学び続ける力」を組織に根づかせることでした。
山田様は、現代のリーダーに必要なのは「学び直し」ではなく、「学び続ける姿勢」そのものだと語ります。
かつては⼤学卒業後の学びでキャリア全体を支えることができましたが、VUCAの時代、⼀度の学びでは追いつかなくなってきています。即効性のあるスキルだけでなく、⻑期的に効く教養が求められる時代になってきていると感じます。
また本プログラムにおいても「学び→実践→学び」の往復だけでなく、「教える側も学び手に戻る」という循環が不可欠だと強調されます。
教える側こそ学び続けないと変化に適応できません。学び続けられなくなった瞬間に、教える側としての役割も果たせなくなってしまうのです。
こうした思想は、ドコモgaccoが提供するすべてのプログラムに共通しており、学びと実践の往復を組織に再構築することが根幹に据えられていました。
2. 表情が変わる。知的好奇心が火をつけた受講⽣の変化
プログラムを通じて最も⼤きく変わったのは、受講生の表情でした。
対面でもオンラインでも、議論を重ねるごとに、表情が前向きに、姿勢が積極的になっていく様子がとても印象的でした。
その背景にあるのは、「正解主義」を離れ、「問いを探索する」というリベラルアーツ思考に触れたことだと山田様は振り返ります。
正解のない問いに向き合うと、皆さんの知的好奇⼼が⼀気に⽴ち上がる。⽇常業務では⾒られない表情がどんどん⾒えてくるようになります。
普段触れない視点に出会える。⾃分の内側の「好奇心のスイッチ」がオンになる機会が、リベラルアーツ思考ビジネスプログラムにたくさん詰め込まれています。
3. グループディスカッションが⽣む「問い」と「気づき」の連鎖
グループディスカッションでは、毎回30〜40分の受講⽣同⼠の対話を通じて、自ら問いを⽴て、「事象同士を関連づける力」が育まれています。
山田様が振り返った中でも、特に印象的だったのが、ある管理職の⽅の気づきでした。
その方はこれまでメンバーに対して「前例に縛られているのではないか」と指摘していたそうです。しかし、他社の同じ立場のマネージャーとの議論を経て、「実は自分自身こそ、誰かにとっての前例になっていた」と気づかされたといいます。
これは、ただケースを読むだけでは決して得られない、対話と内省の積み重ねから生まれる学びの深さを象徴しています。受講生同士が気づきを⾔葉にし、共有し合うことでアウトプットが変わり、そこからさらに新しい問いが⽣まれていく。その問いの連鎖こそが、ドコモgaccoのリベラルアーツ思考ビジネスプログラムが提供する価値の中心だと⾔えます。
4. リベラルアーツだから育つ「答えのない状況に耐える力」
山田様が強調したのは、リベラルアーツが育む「ネガティブケイパビリティ(答えのない状態に耐える力)」の重要性です。この⼒は未来のリーダーに必須の素養であるとお話しされます。
役職に関係なく、正解のない問いに向き合い続けることは、これからのリーダーに⽋かせない⼒だと感じています。
さらにドコモgaccoが掲げる「教養の民主化」という想いを背景に、どんな⼈にも必要となるテーマを扱えることも本プログラムの⼤きな特徴だといいます。
企業としての合理性だけで判断できないテーマにも挑戦できることが、このプログラムの価値のひとつです。参加者には、視座の⾼いイノベーター層や、使命感や倫理観を⼤切にするメンバーが多く、異なる立場の管理職同士が、共通の問いをめぐって目線を合わせていくプロセスもとても印象的です。
議論の中で価値観や視点が交差して新しい知の循環が生まれ始めています。
5. 異業種交流が生む価値と、説明しすぎない設計
プログラムが広がるにつれ、異業種の参加者が増え、学びの深まり方は⼤きく変化しました。
業界が異なれば、同じケースであっても前提や見える景色がまったく異なります。その違いが掛け算されることで、これまで生まれなかった新しい問いが立ち上がります。
山田様が特に⼤切にしているのは、「プログラムの価値を事前に説明しすぎない」という姿勢です。
実際に他の方と議論し、⾃分の問いが芽生えた瞬間にこそ、本質的な学びが⽣まれます。この⾃分の問いが立ち上がる体験こそが最大の価値なのです。
さらに、学びが継続していく背景には「仲間の存在」があります。
継続を⽀えるのは知識ではなく、学ぶ仲間の存在です。動画視聴のインプットと、ディスカッションによるアウトプットがセットになった反転学習モデルにより、学びが一方向で終わらず、互いに高め合う循環が⽣まれています。
こうした「異業種の交差」と「仲間との学び」を最⼤限活かすため、All Bridgeとしても、問いが自然に生まれる環境づくりを重視してきました。参加者同士の対話が深まり、継続につながる仕組みを支えることこそが、伴走者としての重要な役割だと考えています。
6. 「教養の民主化」を企業へ届ける ── ドコモgaccoとAll Bridgeの共創
オンライン化によって、地方や海外からの参加も当たり前になりました。さらに、経営層やマネージャー層が自ら学びに参加する姿が増えたことで、企業内の学びの文化にも少しずつ変化が生まれ始めています。
山田様は、リベラルアーツ思考には、⼤きな可能性と伸びしろがあると語ります。
教養はスキルのように急激に伸びるものではなく、呼吸のように続けるもの。だからこそ、小さく・丁寧に・継続的に広げていきたいと思っています。
これまで学びに積極的だった⽅々にとどまらず、より幅広い層へどう届けていくか。そこがこれからの挑戦です。
企業横断のコミュニティづくり、そして導⼊企業への丁寧な伴走を通じて、「教養の民主化」と「学び続ける文化」づくりを共に進めています。
まとめ
リベラルアーツプログラムは、「正解がない時代に、どう学び続けるか」という問いに向き合うための実践の場です。
本取り組みは、「知的好奇心の再点⽕」「異業種の掛け算による新しい問いの創発」「オンラインを活かした学びの⺠主化」などを通じて、学びが息づく組織づくりの確かな第⼀歩になっています。
All Bridgeは、ドコモgaccoと共にこの取り組みを伴⾛し、変化を丁寧に拾い、企業へ届け、学びを組織⽂化へと落とし込んでいきたいと考えています。
これからも、ドコモgaccoとAll Bridgeは、企業における学びの文化を共に育み、未来をつくるリーダーの成長を支えていきます。
事務局メンバー

