仕事は楽しいものだと知ってほしい -新規事業創出プログラムが新入社員に届けた「正解のない問い」との向き合い方-

エースコック株式会社 新入社員研修プログラム

担当者の皆様

本田 涼 様
本田 涼 様
エースコック株式会社 総務人事部 人事課 係長


エースコック株式会社の本田様は、「会社が一番伝えたいメッセージを、一番最初に届ける」という考えのもと、新入社員研修の初日から新規事業創出プログラムを置く設計をしました。

新入社員を対象に実施した新規事業創出プログラム(2日間)およびクリティカルシンキングプログラム(1日)は、単なる新規事業創出やスキル習得ではなく、「仕事の本質とは何か」を自分事として問い続ける姿勢を育てることを目的としています。

この研修は、参加した新入社員の皆さんにどんな変化をもたらしたのでしょうか。

本田様に、プログラムの設計の意図と手応えを伺いました。

1.「仕事は楽しい」を体感してほしかった

なぜ新入社員研修に新規事業創出プログラムを取り入れたのか。その答えは、本田様が仕事に対して持つ信念にありました。

仕事は楽しいものなんだ、ということを本当に感じていただきたくて。仕事をしたことのない方は”仕事は大変”というイメージをお持ちかもしれませんが、本当はそうではないと思っています。仕事は人生そのものだと思っていて、そこが楽しめないとこれからの人生も楽しめないと思うんです。

では、仕事の楽しさとは何か。本田様はそれを「お客様に価値を届けること」だと言います。

ビジネスマナーも、プレゼンも、論理的思考も、すべては「お客様に価値を届けるため」にある。その本質を社員として最初に理解することで、学ぶことの意味が根本から変わると本田様は考えられていました。

仕事を楽しめる人間になること。誰かに価値を届けることを自分ごととして捉えられるようになること。それを入社直後から伝えるために、今回の研修設計がありました。

2.「入社2日目に新規事業」という勇気ある設計

「誰かに価値を届けることが仕事の楽しさだ」という信念を持つ本田様が次に考えたのは、その本質をいつ、どのように伝えるか、でした。

通常、新入社員研修の冒頭はビジネスマナーから始まります。しかし本田様は、入社式の翌日に新規事業創出プログラムをあえて置きました。その理由をこうお話されます。

ビジネスマナーの前に、社会人として仕事の本質をまず触りでも理解していただきたいと思っています。私たちがお客様に価値を届けていくためには、ビジネスマナーが必要ですし、伝える力も必要です。すべてがこの仕事の本質とは何かという問いに集約されるように設計しているんです。

その後に続くビジネスマナー研修も、各部署のオリエンテーションも、プレゼン研修も、すべて「仕事の本質とは何か」、そして「お客様に価値を届けるとはどういうことか」という軸に結びついています。

学ぶことの順番ではなく、学ぶことの意味を最初に渡す。
それが本田様の設計思想でした。

3.「正解がない」ことを体感させる場として

仕事の本質を最初に届けるという設計は、プログラム中の新入社員たちの姿にも表れていました。とりわけ印象的だったのが、「自分ごと化」の速さです。通常のクリティカルシンキング研修では「この枠組みで合っていますか?」など、正解を確認する質問がどうしても出てしまいます。しかし今回、そうした質問はほとんどありませんでした。

この姿勢は、本田様が研修全体を通じて繰り返してきたメッセージと繋がっていました。

正解はないから、正解にしていくことが仕事だと常々伝えてきました。タクシーの上座・下座も、今の時代はキャッシュレスで後部座席でも決済できますので、ケースバイケースだと思っています。こういった例を出しながら、正解とは何なのかを常に自分自身で考えていく重要性を共有してきました。

「誰かに言われたまま動く」のではなく「自分で考えて動く」

変化の激しい時代だからこそ求められるその姿勢が、新入社員の皆さんの中に自然と生まれていました。これは「正解がない」という前提を入社直後から丁寧に届けられてきた、本田様の積み重ねがあったことが背景にありました。

4.「新規事業を作ること」が目的ではない

「正解がない中で考える」というプロセスを体感してもらうこと。本田様が繰り返し強調したのは、そのさらに先にある「本質」でした。

研修名称としては新規事業創出プログラムですが、事業創出が本質ではありません。新規事業のプロセスを通じて仕事の本質を理解する、というところが本質だと思っています。そのため、新入社員の皆さんにも、本質という言葉をよく使っています。本質は何かを常に考えてください、と。

新規事業を作ることではなく、仕事とは何かを自分ごととして考えられる社会人になること。そのゴールは、All Bridgeとの設計の中でも一貫していました。

非常に質の高い研修プログラムを組んでいただいたというのが、率直な意見です。数字を出すことより、どのように働くか・仕事とは何かというところにフォーカスした設計にしていただき、私たちとしても、非常に楽しく取り組むことができました。

「楽しい」という言葉が自然に出てきたこと。それは偶然ではありません。「仕事は楽しいものだ」と新入社員に伝えたい本田様の想いと、私たちの設計思想が重なっていたからでした。

5. 振り返りが、学びを自分のものにする

「自分ごと化」の速さには、もう一つの背景があります。本田様が研修全体を通じて毎日欠かさず行ってきた「振り返り」の習慣です。

人間は忘れてしまうものです。だから毎日、昨日学んだことで学びになったと感じたことを、自分の言葉で共有してもらうようにしています。専門用語でなくていい、自分の言葉でいい、と常にお伝えしています。

知識をそのまま覚えるのではなく、自分の言葉に置き換えて語ること。その積み重ねが、「枠組みが合っているか?」ではなく「自分だったらどうか?」という問いを自然に生む姿勢につながっていました。「正解にしていくのが仕事だ」というメッセージが、毎日の振り返りを通じて少しずつ体に染みこんでいったのだと感じます。

6. 同期という「一生モノの宝」

「正解にしていく」プロセスを、新入社員が一緒に経験したこと。それがもう一つの大きな価値を生み出していました。同期同士のつながりです。

チームで議論し、ぶつかり合い、一緒に形にしていく。その過程を共有した新入社員は、単なる「同期」を超えた関係性を育んでいました。本田様はこう話します。

同期というのは、かけがえのない存在だと思っています。配属先がバラバラになっても、あの研修を一緒に経験した仲間がいるというのは、一生モノの宝になると思っています。

「自分だけ良ければいい」ではなく「チームで良くしていこう」という姿勢が自然に生まれていたのも、この関係性があってこそです。

仕事の本質を同じ場で問い続けた仲間がいること。それが、配属後の「前向きさ」の土台にもなっていくはずだと本田様は言います。

7. 来年の新入社員の皆さんへ、そしてこれからへ

仕事を楽しめる人間になること。誰かに価値を届けることを自分ごととして捉えられるようになること。そのメッセージを体現するプログラムを経た社員は、いよいよそれぞれの配属先へと向かいます。

本田様は、来年以降入社してくる新入社員たちへもこう語ります。

まずは仕事を楽しもう、ということを伝えたいです。ライフの中にワークがある。仕事もプライベートも、総じて楽しんでいきましょう、と伝えたいです。

3日間の学びが、配属先でどのように花開いていくか。本田様はこう締めくくります。

知識が積み上がった時に、どういうアウトプットが出てくるのか。そこがより楽しみです。


まとめ

本田様がこのプログラムを通じて届けたかったメッセージは、「仕事は楽しいものだ」という一貫した1つのメッセージでした。

入社2日目に新規事業創出プログラムを置くという設計も、「正解はない、正解にしていくのが仕事」という毎日の言葉も、振り返りの習慣も、すべてはその一点から生まれていました。私たちも、そのメッセージが体験として伝わるよう、「正解がない中で考える」「自分の言葉でアウトプットする」場を大切に設計しました。

本田様の想いと私たちの設計が重なったからこそ、このプログラムは単なる研修を超えたものになったと感じています。今後も本田様・エースコック様とともに、仕事を楽しみ、誰かに価値を届けることを自分ごととして考えられる人材が育つ環境づくりに、伴走してまいります。

集合写真

事務局メンバー

水谷 真人
水谷 真人
All Bridge株式会社 代表取締役

稲熊 圭太
稲熊 圭太
新規事業人財育成スペシャリスト

毛利 康聖
毛利 康聖
新規事業創出コンサルタント