SCAMPERとは|7つの視点でアイデアを広げる手順と問いの例

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SCAMPERとは|7つの視点でアイデアを広げる手順と問いの例

新規事業のアイデア出しで、既存商品を起点に考え始めると、どうしても改善案の延長線から抜け出せない。会議で出てくる案が毎回似た方向に寄っていると感じたことのある方も多いのではないでしょうか。発想を個人の感覚に委ねている限り、着想の量にも幅にも、担当者ごとのばらつきが残り続けます。

この課題に対して有効なのが、考える角度をあらかじめ用意しておくという発想です。SCAMPERは、その代表的な手法の一つです。本記事では、SCAMPERとは何かという定義から、7つの視点それぞれの意味と問いの立て方、実際の進め方、そして運用上の注意点までを順に整理します。

SCAMPERとは

SCAMPERとは、既存の対象に7つの問いを投げかけることで発想を広げる手法です。Substitute(置き換える)、Combine(組み合わせる)、Adapt(適応させる)、Modify(変更する)、Put to other uses(別の用途に転用する)、Eliminate(取り除く)、Reverse(逆転させる)の頭文字を並べた名称で、オズボーンのチェックリストを整理した発想法として知られています。

この手法の特徴は、視点をあらかじめ問いの形で用意している点にあります。白紙の状態から「何かないか」と考えるのではなく、決められた角度から対象を見直していきます。その結果、発想が個人の経験や、その日の調子に左右されにくくなります。

押さえておきたいのは、SCAMPERが答えではなく問いを提供する枠組みだという点です。手法そのものが優れたアイデアを生み出すわけではありません。同じ問いを組織で共有し、検討の抜けを減らすための土台として機能する道具だと捉えてください。

SCAMPERが実務で使われる理由

この手法が使われる背景には、発想を個人の才能とみなす考え方への疑問があります。優れた着想を一部の担当者に依存している状態では、その人が異動した途端に探索の質が落ちます。問いを共有する仕組みは、この属人性を減らす手立てになります。

もう一つの理由は、導入の負担が小さいことです。特別なツールも、外部の講師も必要ありません。7つの問いのリストがあれば、会議の場でも個人作業でも始められます。定着させやすいという点は、実務上の大きな利点です。

三つ目に、検討の網羅性を担保できる点が挙げられます。自然に考えていると、人は自分の得意な角度からばかり対象を眺めます。7つの視点を順に当てていけば、普段は使わない角度が強制的に検討対象に入り、死角が減ります。

7つの視点の意味と問いの例

7つの視点は、既存の対象を分解し、別の角度から見直すための問いです。まずは全体像を一覧で押さえたうえで、対象に応じて使う視点を選ぶ進め方が実務に向いています。

視点意味立てる問いの例
Substitute要素を別のものに置き換える材料・担当者・提供チャネルを何かで置き換えられないか
Combine複数の要素を組み合わせる別の機能やサービスと束ねられないか
Adapt他分野の事例を応用する他業界の仕組みを持ち込めないか
Modify大きさ・形・頻度を変える規模を拡大、あるいは機能を簡素化できないか
Put to other uses別の用途に転用する想定外の顧客層に使ってもらえないか
Eliminate要素を取り除くこの機能や工程をなくしても成立しないか
Reverse順序や役割を逆転させる提供側と受け手を入れ替えたらどうなるか

各視点は独立していますが、組み合わせて使うことで効果が高まります。一つの対象に複数の問いを重ねると、単独では出てこない案に行き当たります。

Substitute・Combine・Adapt

Substituteは、対象の構成要素を別のものに置き換える視点です。素材、担当者、提供チャネルなど、置換の候補は多岐にわたります。当然の前提としていた要素を疑うことで、発想の起点そのものが動きます。

Combineは複数の要素を組み合わせる視点、Adaptは他分野の事例を自社に応用する視点です。既存サービスに別の機能を結合したり、異なる業界の仕組みを取り込んだりします。社内に散らばっている知見を横断的に活かす問いとして働きます。

この3つに共通するのは、手元の資源を組み替えるという発想です。ゼロから何かを生み出すのではなく、すでに持っているものを材料として捉え直します。実務では、置換や結合の対象を具体的に書き出してから問いを立てると、案が実行可能な水準に近づきます。

Modify・Put to other uses

Modifyは、対象の大きさや形、頻度などを変更する視点です。規模を拡大する方向にも、機能を絞って簡素化する方向にも展開できます。既存の前提を数値や形状の面から見直すきっかけになります。

Put to other usesは、対象を別の用途に転用する視点です。当初想定していた顧客層とは異なる市場での活用を検討します。既存資産の新しい使い道を探す問いであるため、新規事業の探索とは特に相性のよい視点です。

この2つは、要素そのものではなく扱い方を問い直す点に特徴があります。同じものでも、置く文脈が変われば意味が変わります。既存の価値を別の場所に持っていくことで、これまで接点のなかった市場が見えてくることがあります。

Eliminate・Reverse

Eliminateは、対象から要素を取り除く視点です。機能や工程を削ってみることで、本質的な価値がどこにあったのかが浮かび上がります。足す方向に偏りがちな検討を整理する役割も担います。

Reverseは、順序や役割を逆転させる視点です。提供と対価の関係、担当者と顧客の役割などを入れ替えて考えます。当たり前とされてきた構造を反転させることで、発想の枠が広がります。

この2つは、既存の構造を崩して考える点で共通します。足す発想が行き詰まったとき、引き算や反転が突破口になることは少なくありません。前提を疑う習慣を持つことで、探索の幅は着実に広がっていきます。

SCAMPERの進め方

進め方は、対象を定める、問いを立てる、書き出す、次工程へ渡す、という流れで組み立てます。まず何を検討するのかを一つに絞ります。対象が曖昧なままでは、どの視点も抽象論に流れます。既存商品や業務プロセスなど、具体的な対象を据えることが出発点です。

次に、7つの視点を順に当てて問いを立てます。ここで意識したいのは、視点の名前をそのまま書くのではなく、対象に即した具体的な問いに翻訳することです。「Substitute」ではなく「この工程を担当している人を、外部のパートナーに置き換えられないか」という形まで落とし込みます。

出てきたアイデアは、その場で評価せずすべて書き出します。発想と評価を分けることで、量の確保と質の判断を両立できます。チームで取り組む場合は、視点ごとに担当者を割り振り、後から持ち寄る方法も有効です。役割を分けることで、発想の偏りを抑えられます。

最後に、書き出した案を次の工程へ渡す段取りを決めます。誰がいつ評価するのかが決まっていないと、案は記録されたまま動きません。ここまでを一連の流れとして設計して、初めて手法が実務につながります。

新規事業での使いどころ

新規事業では、既存事業の延長で発想が固定される場面が多く見られます。SCAMPERは、その固定された前提を問い直す起点として使えます。7つの視点を順に当てることで、検討の死角を組織的に減らせるためです。

有効なのは、既存商品や既存の業務プロセスを対象に据える使い方です。漠然と新規事業を構想するより、具体的な対象への問いのほうが実務に接続しやすくなります。特にPut to other usesEliminateは、自社の資産を別の文脈に置き直す視点として、新規領域の探索で機能します。

運用を重ねる中で、自社に合った問いの形を蓄積していくことも大切です。過去の検討で有効だった問いを記録し、次の機会に使い回します。手法を一度きりで使い捨てにせず、組織の資産として育てる姿勢が探索を支えます。

使う際の注意点

第一に、視点を機械的に埋めるだけの作業にしないことです。7つの枠を形式的に埋めても、実務につながらない案が並ぶだけになります。各視点で立てた問いを、対象が抱える具体的な課題に結びつけて考える姿勢が求められます。

第二に、発想の量それ自体を目的にしないことです。案がいくら多く出ても、選ぶ基準がなければ意思決定は前に進みません。発想の段階と評価の段階を分け、それぞれに手順を用意しておく必要があります。

第三に、SCAMPERは万能の手法ではないという前提を持つことです。既存対象の改良には力を発揮しますが、まったく新しい領域をゼロから構想する場面には、必ずしも向いていません。目的に応じて他の手法と使い分ける判断が必要になります。

第四に、成果を意思決定につなげる経路を用意しておくことです。発想が多く出ても、判断する場がなければ事業には進みません。誰がどの基準で選ぶのかを、発想の場を開く前に決めておくことをおすすめします。

よくある質問

SCAMPERは初心者でも使えますか

使えます。7つの視点が問いの形で用意されているため、白紙から考える必要がありません。まずは自社の既存商品を対象に据え、各視点で一つずつ問いを立ててみる進め方が実務に向いています。慣れないうちは7つすべてを埋めようとせず、対象と相性のよさそうな2〜3の視点から始めても構いません。数をこなすうちに、どの視点が自社で機能しやすいかが見えてきます。

7つの視点はすべて使う必要がありますか

すべてを使う必要はありません。対象や目的によって、有効に働く視点は変わります。ただし最初のうちは、あえて全視点を一通り試してみることをおすすめします。普段は使わない角度から考える経験そのものに意味があり、その結果として自社で成果の出やすい視点が把握できるからです。何度か運用した後に、対象に応じて絞り込む形が現実的です。

出したアイデアはどう扱えばよいですか

発想の段階では評価せず、まずすべて書き出すことを推奨します。そのうえで、別の場で改めて基準を持ち込んで絞り込みます。発想と評価を分けることで、量の確保と質の判断を両立できるためです。書き出した案は、採用しなかったものも含めて記録に残しておくと、次に似た検討をする際の出発点として使えます。

まとめ

SCAMPERとは、7つの問いによって発想を広げる手法です。置き換える、組み合わせる、適応させる、変更する、転用する、取り除く、逆転させるという角度を順に当てることで、個人の経験に依存しない探索が可能になります。

実務で成果につなげる要点は三つあります。対象を一つに絞ってから問いを立てること、視点の名前を対象に即した具体的な問いへ翻訳すること、そして発想と評価を明確に分けることです。7つの枠を埋めた時点で満足せず、出てきた案を誰がいつ評価するのかまで設計しておく。この一手間が、手法を仕組みへと変えていきます。

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